【東大阪市】彌刀神社を参拝|水の神様を祀る延喜式内社の歴史と境内

大阪府東大阪市近江堂に鎮座する 彌刀神社(みとじんじゃ)を訪れました。

参拝したのは、9月も半ばを過ぎた頃。

まだ暑さの残る時期でしたが、当日はとてもよいお天気。駅からも近く、歩いて訪れやすい場所にあります。

境内に足を踏み入れると、心地よい風が流れ、暑さを忘れるような気持ちよさがありました。

住宅街の中にありながら、ゆったりとした空気を感じられる彌刀神社。

今回は、参拝したときの境内の様子とともに、古くからこの地に鎮座する神社の御由緒や御祭神についてご紹介します。

それでは、彌刀神社へ参りましょう。

 

 

彌刀神社の御由緒

 

彌刀神社は、大阪府東大阪市近江堂に鎮座する神社です。

その歴史は古く、平安時代の延長5年(927年)にまとめられた『延喜式』の神名帳に、河内国若江郡の神社として記載されています。

この神名帳に記載された神社は、一般に「式内社」と呼ばれます。彌刀神社もその一社であり、古くからこの地域で信仰を集めてきた神社です。

創建された年代については、詳しいことはわかっていません。

 

彌刀神社御由緒

彌刀神社御由緒

 

伝承によると、奈良時代の天平宝字6年(762年)6月、旧大和川(現在の長瀬川につながる水系)の堤防が決壊し、その際の激しい流れによって、神社に伝わる建物や器物などが流失したとされています。

水と深い関わりを持つ土地であったことがうかがえる、印象的な伝承です。

その後も地域の人々の信仰を集め、室町時代には市場の神としても崇敬され、江戸時代には周辺の集落とともに発展してきました。

明治7年(1874年)には社殿が新たに造営され、現在の本殿は平成3年(1991年)に造替されています。

長い年月の中で社殿の姿は変わっても、この地を見守る神社として受け継がれてきたのですね。

 

 

彌刀神社の御祭神

 

彌刀神社の御祭神は、次の二柱です。

速秋津日子神(はやあきつひこのかみ)
速秋津比売神(はやあきつひめのかみ)

この二柱は、古事記に登場する水戸(みなと)の神様です。

 

 

速秋津日子神・速秋津比売神とは

 

速秋津日子神と速秋津比売神は、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)による神生みの物語に登場します。

水戸とは、川と海がつながる場所や、水の出入口を意味する言葉です。

古くから、水は人々の暮らしに欠かせないものでした。飲み水や農業に必要な水をもたらす一方、洪水などの災害を引き起こすこともあります。

そのため、水の流れを司る神様は、暮らしを守るうえで大切な存在として信仰されてきました。

また、この二柱は『古事記』において、河や海に関わる神々を生み出す神としても記されています。

水の流れが交わる場所を司る神様として、古代の人々が水の恵みと脅威の両方を身近に感じていたことが伝わってきます。

 

 

「近江堂」という地名と水の関わり

 

彌刀神社の鎮座する「近江堂」という地名にも、興味深い説があります。

この周辺は、かつて大きな水域や河口に近い土地であったと考えられ、「大水戸(おおみと)」という呼び名が変化して「近江堂」になったのではないかと伝えられています。

現在の東大阪市からは、古代の水辺の風景を想像するのは難しいかもしれません。

しかし、地名や神社の御祭神、そして水害にまつわる伝承をたどっていくと、この地域がかつて水と深く結びついていたことが感じられます。

神社を訪ねることは、その土地が歩んできた歴史を知ることにもつながりますね。

 

 

心地よい風が流れる境内

 

9月半ばを過ぎても、まだ夏の暑さが残る一日。

境内を歩いていると、心地よい風が流れてきました。

 

彌刀神社拝殿

彌刀神社拝殿

 

よいお天気に恵まれ、暑さの中にも、ほっとひと息つけるような気持ちよさがあります。

神社を訪れる楽しみは、建物や歴史を知ることだけではありません。

境内を歩き、風を感じ、静かに手を合わせる。そんな何気ない時間も、寺社めぐりの大切な魅力だと思います。

駅からほど近い場所に、こうして落ち着いた時間を過ごせる神社があるのはうれしいことですね。

 

 

摂社・八坂神社と末社・常世神社

 

彌刀神社の境内には、本社のほかに八坂神社と常世神社があります。

 

 

八坂神社

 

八坂神社の御祭神は、須佐之男命(すさのおのみこと)です。

境内にある八坂神社の本殿は、江戸時代中期頃の建築様式を伝える建物で、東大阪市指定有形文化財となっています。

 

彌刀神社摂社 八坂神社

彌刀神社摂社 八坂神社

 

一間社春日造(いっけんしゃかすがづくり)と呼ばれる形式で、社殿の細部には当時の建築の特徴が見られます。

摂社でありながら、地域の歴史や神社建築を知るうえでも貴重な存在です。

 

 

常世神社

 

末社の常世神社には、大己貴命(おおなむちのみこと)が祀られています。

 

彌刀神社末社 常世神社

彌刀神社末社 常世神社

 

大己貴命は、大国主神(おおくにぬしのかみ)の別名としても知られる神様です。

彌刀神社を訪れた際には、本社だけでなく、境内に鎮座する神社にも目を向けてみると、この場所に受け継がれてきた信仰をより深く感じられるのではないでしょうか。

 

 

まとめ|東大阪に残る古社、彌刀神社

 

大阪府東大阪市に鎮座する彌刀神社。

延喜式内社として古い歴史を持ち、水戸の神様である速秋津日子神・速秋津比売神をお祀りする神社です。

かつての水辺の風景を思わせる地名の由来や、洪水にまつわる伝承を知ると、今の街並みの中にある神社も、また違った姿に見えてきます。

訪れた日は、まだ暑さが残る9月の半ば過ぎでしたが、境内には心地よい風が流れ、気持ちよく参拝することができました。

駅からも近く、気軽に立ち寄りやすい彌刀神社。

東大阪で歴史ある神社を訪ねたい方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

 

御朱印

 

彌刀神社御朱印

彌刀神社御朱印

 

 

アクセス

 

【所在地】大阪府東大阪市近江堂1丁目12-15
【交通アクセス】近鉄大阪線「長瀬駅」から徒歩約10分