大阪府八尾市の竹渕地区──。
静かな住宅街の一角に、太古の祈りが息づく神社があります。
竹渕神社(たこちじんじゃ)は、神武天皇が生駒山で襲われた際に身を潜めたという伝承地に鎮座し、天照大神を祀る厄除け・開運の神社。
2700年の歴史を持つその境内には、斜めに伸びる御神木や龍神の宮池跡が残り、訪れる人の心を静かに整えてくれます。
今回は、「OsakaMetroで行く六十六花御朱印巡り」の一社として拝受した花御朱印とともに、竹渕神社の魅力をご紹介します。
それでは、竹渕神社へ参りましょう。
目次
竹渕神社の由緒|神武天皇ゆかりの太古の祈り
竹渕神社の起源は、いまから約2700年前──初代天皇・神武天皇が大和国を目指していた時代にさかのぼります。
神武天皇は生駒山で強敵に襲われ、命の危機に瀕しますが、この地の大竹藪に身を潜め、難を逃れたと伝えられています。
その霊跡に、皇祖神である天照大神をお祀りしたのが、竹渕神社の始まり。
以来、厄除け・開運・除災招福の神社として、地域の人々の祈りを受け止めてきました。
境内の見どころ|静けさと神話が重なる場所
竹渕神社の境内には、神話と暮らしが重なり合うような、やさしい祈りの風景が広がっています。
ここからは、境内を歩くように、見どころをご案内します。
神話に触れる場所
竹渕神社の境内には、太古の祈りが今も息づいています。
とくに印象的なのが、鳥居をくぐってすぐ右手に見える、斜めに伸びるくすのきの御神木。
かつて龍神が宿るとされた「宮池」の跡に寄り添うように斜めに立ち、その姿はまるで神話の記憶を語りかけるようです。

斜めに伸びる御神木──太古の記憶を語りかけるような存在
心を整え、拝殿へ
参道を進むと、まず目に入るのが手水舎。
清らかな水で手を清めることで、外の世界から少し距離を置き、心を整える時間が始まります。

参拝の前に心を整える場所
その先に鎮座するのが、天照大神を祀る拝殿。
静けさの中に凛とした気配が漂い、自然と背筋が伸びるような、そんな場所です。
住宅地の中にありながら、ここだけは時間がゆっくりと流れているように感じられました。

天照大神を祀る、静けさに包まれた中心
暮らしに寄り添う祈りの社たち
境内には、地域の暮らしとともに歩んできた小さな社が点在しています。
子守大明神は子どもの健やかな成長を願う神さま。
また、ピンク色のように見える鳥居が印象的な稲荷神社では、五穀豊穣や商売繁盛が祈願されています。

子守大明神──子どもたちの健やかな成長を願って

稲荷神社──ピンク色?の鳥居が印象的な祈りの場
宮池大地主大明神──水と土地を守る神さま
江戸時代まで竹渕神社の本殿周囲には「宮池」と呼ばれる周濠があり、龍神が住む神聖な池として恐れられていました。
竹渕神社の境内には、かつて龍神が宿るとされた「宮池」の跡が今も残されています。
その一角に祀られているのが、宮池大地主大明神。
水の神、土地の神として、かつての池とその周囲を守る存在です。
昭和44年に市街化の影響で池の多くが埋め立てられましたが、龍神の気配は今も静かに漂っています。

宮池大地主大明神──龍神の気配が残る社
歴史の痕跡をたどる|徳川家康公馬繋之碑
竹渕神社の境内には、徳川家康公が馬を繋いだと伝えられる石碑が静かに佇んでいます。
天正十年の「伊賀越え」で一日目の休息地に竹渕の塩川家を訪れ無事に帰帆、慶長二十年の「大坂夏の陣」の折には、竹渕の大竹藪や龍神池のおかげで、徳川家康公は難を逃れました。
この石碑は徳川家康公の馬を繋いだ大楠之木の跡で、令和元年に塩川家より竹渕神社に移設されました。

徳川家康公馬繋之碑──静かな境内に残る歴史の足跡
御朱印|六十六花御朱印巡り
竹渕神社は、六十六花御朱印巡りの対象神社のひとつ。
この企画では、関西の神社仏閣を巡りながら、季節の花をモチーフにした華やかな御朱印をいただくことができます。
竹渕神社の御朱印は、花の彩りと神社名が美しく調和した一枚。
神武天皇ゆかりの厄除け神社としての気品と、静かな住宅地に佇むやさしさが、紙面にそっと込められているようでした。

竹渕神社の花御朱印
👉 「OsakaMetroで行く六十六花御朱印巡り」まとめ記事はこちら
アクセス
【所在地】大阪府八尾市竹渕2-154
【最寄り駅】・Osaka Metro谷町線「出戸駅」から徒歩約13分・大阪シティバス「中出戸」または「長吉出戸小学校前」から徒歩約6分
【駐車場】境内駐車可。駐車場へは南側の入り口からお入り下さい。
祈りのあとで
竹渕神社は、静かな住宅地の中に佇みながら、神武天皇の伝承や龍神の気配が今も息づく、太古の祈りの場。
六十六花御朱印巡りの一社としていただいた花御朱印は、まるでその静けさと彩りを紙面に閉じ込めたようでした。
御神木のそばで風に吹かれながら、心を整える時間。
小さな祠に手を合わせながら、暮らしに寄り添う祈りを感じる時間。
竹渕神社で過ごしたひとときは、日常の中にそっと差し込まれた、やさしい光のようでした。
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