鶴橋コリアンタウンの賑わいを抜け、桃谷の路地を歩くと、ふと静けさに包まれる瞬間があります。

その先に佇むのが、厄除けと縁結びのご利益で知られる彌榮神社(やえいじんじゃ)。

「いやさか(弥栄)」──。末永く栄えることを願う名を持つこの社は、地域に根差しながら、訪れる人の心をそっと癒してくれる場所です。

今回は、そんな彌榮神社での参拝体験をお届けします。

 

 

彌榮神社とは

 

大阪市生野区桃谷に鎮座する彌榮神社は、文禄年間(1592〜1595年)に出雲国・熊野大社から御分霊を勧請して創建されたと伝わります。

かつては「牛頭天王社」と呼ばれ、旧・木野村の氏神として地域の人々に厚く信仰されてきました。

明治5年(1872年)には「彌榮神社」と改称し、さらに明治43年(1910年)には岡村の御館神社を合祀。

現在は素戔嗚尊と仁徳天皇の二柱を祀る神社として、厄除けと縁結びのご利益で広く知られています。

「いやさか(弥栄)」とは「末永く栄える」という意味を持ち、地域の繁栄と人々の幸せを願う心が込められています。

境内は広くはありませんが、訪れると不思議と心が落ち着き、静かな癒しを感じられる空間です。

 

 

境内の見どころ

 

私が訪れたこの日は、「OsakaMetroで行く六十六花御朱印巡り」のイベントとして、参拝者を迎える花手水が彩りを添えていました。

綺麗に浮かべられる花々が、参拝前の心をやさしく整えてくれる光景は、まさに癒しそのもの。歴史ある社に現代的な美しさが調和し、訪れる人の心を惹きつけています。

美しい花で彩られた花手水舎

六十六花御朱印巡りの一環として奉納された花手水

 

 

御祭神は素戔嗚尊と仁徳天皇で、厄除けや疫病除け、縁結びのご利益があります。

彌榮神社の拝殿

厄除けと縁結びのご利益を授ける、彌榮神社の拝殿

 

 

境内にはいくつかの摂社があり、鳥居をくぐると、とても気持ちの良い空間が広がっています。

福徳大明神と白玉大明神へ続く鳥居

彌榮神社の摂社。鳥居をくぐると、日々の暮らしを支える祈りの場が広がります。

 

 

商売繁盛や家内安全のご利益で信仰される福徳大明神、そして地域の人々に親しまれる白玉大明神が祀られています。日々の暮らしを支える祈りの場として大切に守られてきました。

彌榮神社の境内に祀られる白玉大明神

白玉大明神──商売繁盛のご利益で知られる、地元に愛される摂社。

 

彌榮神社の摂社・福徳大明神

境内に佇む福徳大明神。日々の暮らしを支えるご利益に、多くの参拝者が手を合わせます。

 

 

特に注目されるのが櫛名田昆売神社。素戔嗚尊の妻神を祀ることから、縁結びや恋愛成就のパワースポットとして女性参拝者に人気です。

絵馬掛けには、良縁を願う心のこもった言葉が並び、境内にやさしい祈りの気配を漂わせています。

摂社の櫛名田昆売神社

縁結びのご利益で知られる櫛名田昆売神社

 

 

そして、境内の一角には、なんとピザ窯が設置されています。

これは地域の交流やイベント、さらには災害時の炊き出しにも活用されるもので、神社が「祈りの場」であると同時に「暮らしを支える場」でもあることを象徴しています。

伝統と現代が調和するユニークな存在として、訪れる人に温かい驚きを与えてくれます。

境内の一角にあるピザ窯

境内の一角にあるピザ窯──地域の人々をつなぐ交流の場

 

 

御朱印と六十六花御朱印巡り

 

彌榮神社では、通常の御朱印に加えて、「Osaka Metroで行く六十六花御朱印巡り」の対象寺社として、特別な花御朱印を拝受することができます。

この企画は、Osaka Metro沿線にある66の寺社を巡り、それぞれで花をモチーフにした限定御朱印をいただけるもの。専用御朱印帳を手に、沿線の歴史や文化に触れながら巡拝できる人気のイベントです。

彌榮神社の花御朱印は、境内の花手水とも響き合うような華やかさがあり、参拝の記念としても心に残る一枚。

通常御朱印と並べていただくと、神社の歴史と現代的な彩りが一度に感じられます。

 

彌榮神社で拝受した六十六花御朱印巡りの花御朱印

彌榮神社で拝受した六十六花御朱印巡りの花御朱印

 

 

👉 六十六花御朱印巡り(Osaka Metro沿線)まとめ記事は下記からどうぞ

 

 

アクセス

 

【所在地】大阪府大阪市生野区桃谷2丁目16-22

【最寄り駅】・JR大阪環状線「桃谷駅」から徒歩約8分・各線「鶴橋駅」から徒歩約10分

【駐車場】なし

鶴橋コリアンタウンから歩いてすぐ。賑やかな商店街を抜けると、静かな境内が現れます。

 

 

 

参拝を終えて

 

彌榮神社は、鶴橋コリアンタウンのすぐそばにありながら、境内に一歩入ると静けさに包まれる不思議な場所です。

素戔嗚尊と仁徳天皇を祀り、厄除け・縁結び・商売繁盛といったご利益を授けてくださる氏神さま。

櫛名田昆売神社や福徳大明神、白玉大明神といった摂社もあり、訪れる人々の暮らしをやさしく支えてきました。

美しいお花で彩られた花手水や、地域の交流を象徴するピザ窯など、伝統と現代が調和するユニークな魅力もこの神社ならでは。

歴史と現代の彩りが重なり合う彌榮神社。

大阪観光の合間に立ち寄れば、心を整え、やさしい力をいただけることでしょう。

 

 

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