大阪・平野区喜連にある専念寺(せんねんじ)。
「ネコ坊主」として知られる住職・籔本正啓さんが営むこのお寺には、命に寄り添うネコ御朱印や、心に響く金言みくじ、そして極楽浄土の霊鳥・迦陵頻伽が舞う本堂など、静けさとやさしさに満ちた祈りの世界が広がっています。
今回は、「Osaka Metroで行く六十六花御朱印巡り」のひとつとして専念寺を訪れ、境内で出会った小さな祈りのかたちを、そっと綴ってみました。
目次
専念寺の歴史|一心に念仏を唱える祈りの場
大阪市平野区・喜連の地に専念寺が創建されたのは、慶長2年(1597年)のこと。
開基は道善上人。融通念佛宗の二十七世・宗圓上人を師とし、念仏の教えを深く受け継いだ僧でした。
山号の「一向山」には、「一向専念無量寿佛(いっこうせんねんむりょうじゅぶつ)」──。
すなわち「ただひたすらに阿弥陀仏を念じることで、無量の功徳を得る」という、中世の強い念仏信仰が込められています。
その後、宝永地震(1707年)を経て敷地を拡張し、安永4年(1775年)には本堂が再建されました。
本堂の内陣は、中世の道場様式を残す押し板形式で、今もその静けさと荘厳さを伝えています。
また、軒丸瓦に刻まれた「五七桐紋」は、かつてこの地が豊臣家の天領地であったことを今に伝えるもの。
地域の歴史と深く結びついた祈りの場として、専念寺は420年以上にわたり、喜連の人々の心の拠り所であり続けてきました。
ご本尊は阿弥陀如来。脇佛に悪縁を断ち切る毘沙門天が祀られています。
迦陵頻伽が舞う本堂
専念寺の本堂には、迦陵頻伽(かりょうびんが)が舞う天井画が描かれています。
極楽浄土に住むとされる、鳥の翼と人の顔を持つ霊鳥──。
その姿は、10年の歳月をかけて完成された祈りの芸術だそうです。
今回は本堂には入れませんでしたが、事前に予約すれば拝観できるとのこと。
静かな空間に舞う迦陵頻伽の姿は、見る人の心にそっと触れるような美しさがあるといいます。
いつか本堂で、迦陵頻伽の羽ばたきに出会える日を楽しみにしています。
願いをそっとのせて──喜連のおもかる石
山門前に、おもかる石と呼ばれる石が置かれていました。
願いごとを心に思い浮かべながら石を持ち上げ、思ったより軽ければ願いが叶うといわれています。
そっと手を添えてみると、石の重さよりも、自分の願いの重みや、祈る気持ちの深さに気づかされるようでした。
この「おもかる石」は、ただの占いではなく、自分の願いと向き合う、やさしい時間をくれる祈りのかたちなのかもしれません。

願いをそっとのせて持ち上げる、喜連のおもかる石。
思ったより軽ければ、願いが叶うといわれています。
ネコ御朱印と地域ネコの祈り
専念寺では、毎月限定のネコ御朱印が授与されています。
その絵柄は、地域で暮らすネコたちをモチーフにしたもの。
耳に小さなカットが入った「サクラネコ」は、避妊手術を受けた証であり、命を守る活動の象徴でもあります。
住職の薮本正啓さんは、地域ネコ活動にも積極的に関わり、祈りと命の尊さをやさしく伝えている方。
御朱印の収益の一部は、ネコたちの保護や医療費に充てられているそうです。
ネコ御朱印は、ただの記念ではなく、命に寄り添う祈りのかたち。
そのやさしさに触れたとき、心にもそっと灯がともるような気がしました。

専念寺の限定ネコ御朱印。
地域ネコ活動の祈りを込めて、毎月絵柄が変わります。
御朱印の祈り
専念寺では、毎月限定のネコ御朱印に加えて、たくさんの御朱印があるようです。

山門にあったたくさんの御朱印。
御朱印はセルフ方式で、代金はお賽銭箱へ。
専念寺は、「Osaka Metroで行く六十六花御朱印巡り」の一社として、花御朱印も授与されています。
今回いただいたのは、ネコのスタンプが押された六十六花御朱印巡りの一枚。
御朱印は、ただの記念ではなく、その場所で感じた祈りや空気を持ち帰るもの。
専念寺の御朱印は、どれもやさしさと静けさに包まれていて、心にふわりと残る記憶になりました。

Osaka Metro 六十六花御朱印巡りでいただいた、専念寺の花御朱印。
花の祈りがそっと描かれた、やさしい一枚です。
👉 「OsakaMetroで行く六十六花御朱印巡り」まとめ記事はこちら
菩薩さまの金言みくじ|心に届く祈りの言葉
御朱印やお守りが並ぶ中、「菩薩さまの金言」という、少し珍しいおみくじが置かれていました。

悩みごとや一言欲しいことを思いうかべて引いてみよう!
面白そうなので・・!

この中に手を入れて・・!
吉凶ではなく、今の自分に必要な言葉が届くなんて素敵ですよね。
そして、私に届いた菩薩さまからのお言葉は・・・

進め、走れ。未知があなたの道を切り拓く。
進め、走れ。未知があなたの道を切り拓く。
草を掻き分けて進んだ道はあなただけのもの。それが宝もの。
この言葉に出会った瞬間、菩薩さまがそっと背中を押してくれたような気がして、思わず笑みがこぼれました(笑))
吉凶ではなく、今の自分に必要な言葉が届くように──。
そんな祈りのかたちが、専念寺らしい静けさと優しさに満ちていて、心に残りました。
アクセス
【所在地】大阪府大阪市平野区喜連4丁目5-7
【TEL】06-6709-3731
【拝観】境内自由(本堂拝観は要予約)
【最寄駅】Osaka Metro 谷町線「喜連瓜破駅」より徒歩約5分
【駐車場】なし(近隣にコインパーキングあり)
祈りのあとで
この三社はとても近く、駅から歩く道順からすると、専念寺→楯原神社→如願寺と巡る方も多いはず。
御朱印を頂く際にお昼時になってしまっては申し訳ないと思い、セルフで頂ける専念寺さんへの参拝は最後に行くことにしました。
山門から中へは入れないようになっていて、少し残念な気持ちになりましたが、なぜか心が癒されていくような不思議な感覚が・・。
山門前に佇むおもかる石、命に寄り添うネコ御朱印、そして菩薩さまの金言──。
どれもが、心の奥にそっと触れてくるようなやさしさに満ちていました。
本堂に舞う迦陵頻伽にはまだ出会えていませんが、それもまた、次の祈りへと続く余白なのかもしれません。
忙しない日々のなかで、ふと立ち止まりたくなったとき、専念寺がきっとやさしく迎えてくれるはずです。
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