静かな街並みに佇む東大阪市菱屋西の延命寺(えんめいじ)。

河内西国霊場の第三十二番札所として知られ、巡礼の道を歩む人々を優しく迎えてくれるお寺です。

境内に安置された大きな地蔵菩薩坐像は、慈愛に満ちたまなざしで参拝者を包み込み、安産祈願や水子供養の祈りを今も受け止めています。

長い歴史の中で移転や再興を重ねながらも、人々の心に寄り添い続けてきた延命寺は、巡礼の旅において「癒しと安らぎの場」として大切に守られてきました。

 

 

歴史と由緒

 

延命寺の歴史は、寛文2年(1662年)に京都法然院二世・忍徴上人が丈六の地蔵尊を安置したことに始まります。

やがて神仏分離令によって一時移転を余儀なくされましたが、仏定上人の尽力により再興され「延命寺」と改称。

難波新地に堂を構えた時代には、黒門市場から延命寺へ続く道が「延命寺通り」と呼ばれるほど、多くの人々の信仰を集めました。

大正13年には現在の東大阪市菱屋西へ移転し、今日まで巡礼者を迎え続けています。

 

延命寺案内板

延命寺案内板

 

 

境内の見どころ

 

境内に足を踏み入れると、静けさの中に祈りの息づかいが感じられます。ここでは、延命寺ならではの見どころをご紹介します。

 

 

本尊・阿弥陀如来立像

 

延命寺本尊の阿弥陀如来立像は、像高100センチ。

鎌倉時代の作と思われていましたが、修理の際に調査したところ、もとは藤原時代の作であることがわかり、現在は当初の姿に復元され、金泥塗りになっています。

大阪府有形文化財に指定されている貴重な仏像で、静かな佇まいの中に深い慈悲を湛えています。

 

 

地蔵堂

 

道路に面した開放的な地蔵堂に安置される延命地蔵菩薩坐像は、鎌倉時代後期の作と伝わる大型木彫で、右手に錫杖、左手に宝珠を持ち、慈愛に満ちた表情で参拝者を見守ります。

その大きなお姿とまなざしは、安産祈願や水子供養を願う人々に深い安心を与えてくれるようです。

 

延命地蔵菩薩坐像が安置されている地蔵堂

開放的な地蔵堂

 

 

地蔵堂の中に入ると、赤い帽子をかぶったかわいいお地蔵さまがいらっしゃいました。

 

かわいい赤い帽子をかぶった木のお地蔵さま

赤い帽子をかぶったかわいい木製のお地蔵さま

 

これは、お地蔵さまのなで仏なのかな?・・っと思っていたのですが、御朱印を頂いた際にお寺の方に伺ってみました。

すると、「あっ!朝は雨が降ってたから中に入れたままになってたわっ!」っと、かわいいお地蔵さまを抱いて外へ。

そして、このような場所にスポっ!っと、お地蔵さまを差し込みました。

 

 

地蔵堂に入るには3段ほどの階段を上がらなければなりません。

足が不自由な方が階段を上がらずにお参りできるよう、木製のお地蔵さまを外に出しているのだそうです。

きっと、みなさん撫でて行かれるのでしょう。

木製のお地蔵さまのお顔はツルツルになっていました。

 

 

日本一?大きな仏足石

 

また、境内には仏足石があり、仏の歩みを感じられる霊験の石として信仰を集めています。

 

境内にある仏足石

境内にある仏足石

 

延命寺境内の仏足石の長さは1.2メートル。

足裏の長さの約7倍が身の丈とされているので、境内には8.4メートルのお釈迦様が立っておられるのだそうです。

 

 

延命地蔵山合同墓所

 

延命寺の境内には、延命地蔵山合同墓所が設けられています。

ここは後継者の有無にかかわらず、永代にわたり供養が続けられる合同墓所で、地蔵尊の慈愛に包まれながら静かに眠ることができます。

合同墓所に祈りを捧げるとき、参拝者は「生者の祈り」と「亡者の安らぎ」が同じ空間に息づいていることを感じるでしょう。

延命寺が守り続けてきた信仰は、今を生きる人々と先立った人々を結び、巡礼の旅に深い余韻を与えてくれます。

 

延命地藏山合同墓所

地蔵尊の慈愛に包まれ、静かに眠る永代供養の場

 

 

絵馬掛け

 

境内には、願いを込めて絵馬を奉納する場所があります。

小さな木札に記された文字は、巡礼の途中で心を整え、未来への希望を託す証。

地蔵菩薩の慈愛に見守られながら、絵馬は静かに風に揺れ、参拝者の祈りを永く伝え続けています。

 

巡礼者の祈りを託す絵馬

巡礼者の祈りを託す絵馬、延命寺の境内に揺れる

 

 

巡礼の旅に寄り添う延命寺

 

延命寺は、河内西国霊場第三十二番札所として、巡礼の旅路に静かに寄り添っています。

数珠を手に歩みを進める巡礼者にとって、この寺は「祈りの場」であると同時に「癒しの場」。

慈愛に満ちた地蔵菩薩のまなざしは、旅の疲れをそっと包み込み、母のような優しさで参拝者を迎え入れます。

線香の香りが漂う境内に立つと、日々の悩みや不安が少しずつ溶けていき、静かな安らぎが胸に広がっていくのを感じるでしょう。

巡礼の道は、ただ札所を巡るだけではなく、心を整え、過去と未来を結ぶ時間でもあります。

延命寺はその旅の中で「立ち止まり、深呼吸する場所」として、巡礼者に大切なひとときを与えてくれます。

 

 

御朱印

 

墨書きの力強い文字と朱印は、巡礼の旅の証であり、参拝者の祈りを形に残すもの。

御朱印帳に刻まれる一頁は、旅の記憶を永く伝え、次の札所へと歩みを進める力を与えてくれます。

御朱印は寺務所にていただくことができ、参拝後に心を込めて受け取ることで、巡礼の余韻を手元に残すことができます。

 

河内西国三十二番札所・延命寺の御朱

河内西国三十二番札所・延命寺の御朱印 ― 巡礼の祈りを刻む証

 

【御詠歌】
かぎりある いのちをさえも のべたまう
ちかいをまつの ときわにぞみる

 

この御詠歌は、阿弥陀如来の慈悲と誓願を讃えるものです。

限りある人の命をも救い、安らぎへと導いてくださる慈悲を「かぎりあるいのちをさえものべたまう」と詠み、松のように常に変わらず続く誓願を「ちかいをまつのときわにぞみる」と表現しています。

巡礼者にとって、この御詠歌は「有限の命を超えて、永遠の安らぎへと導かれる」という希望を与える祈りの言葉です。

 

 

アクセス

 

【所在地】大阪府東大阪市菱屋西4-5-15

【交通アクセス】近鉄奈良線「河内小阪駅」又は「永和駅」から徒歩約10分

延命寺(河内西国霊場会公式サイト)

 

 

 

巡礼の余韻

 

近鉄「河内小阪駅」を降りて、長瀬川沿いをテクテク。

延命寺へと続くこの道は「長瀬川いきいき水路」というのだそう。

川では魚が泳ぎ、道端には季節の花々が咲き、とても長閑で気持ちの良い遊歩道になっています。

心地良い遊歩道を歩いて行くと見えてくる延命寺。

地蔵堂では、慈愛に満ちた地蔵菩薩のまなざしに包まれて、ゆっくりと心安らぐ時間を過ごすことができます。

 

 

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延命寺での祈りを胸に、次の札所へと歩みを進めてみませんか。

河内西国霊場の一覧記事では、参拝した各札所の情報をまとめています。

巡礼の旅の続きに、ご活用頂ければ幸いです。