専念寺での参拝を終え、上町筋沿いを歩く。

第二十二番札所の大福寺(だいふくじ)を訪ねました。

山門前には「浪華仮病院跡」の石柱があり、明治時代の大阪の医療史とも縁のある寺院です。

それでは大福寺へ参りましょう。

 

 

第二十二番札所 大福寺(浄土宗)
所在地:大阪府大阪市天王寺区上本町4-1-15
山号:貯徳山
御本尊:阿弥陀如来

 

 

歴史・由緒

 

浄土宗の寺院で、貯徳山と号します。上町筋に面した寺町の一角に位置し、古くから信仰を集めてきました。

 

浪華仮病院と大福寺

山門前には「浪華仮病院跡」の石柱が建っています。

浪華仮病院は現在の大阪大学医学部の前身であり、この大福寺の境内に設立されました。

明治時代の大阪の医療の発展に、この寺院が重要な役割を果たしたことを物語っています。

 

 

阿弥陀巡礼の四十八の願い

 

阿弥陀如来が法蔵菩薩として修行していた時、すべての人々を救うために立てられた四十八の誓願。

大阪新四十八願所巡礼は、この一つひとつの願を辿る旅です。

大福寺には第二十二願「必至補処の願」が配当されています。

 

第二十二願 「必至補処の願(ひっしふしょのがん)」

 

【原文】
設我得佛 他方佛土 諸菩薩衆 來生我國 究竟必至 一生補處 除其本願 自在所化 爲衆生故 被弘誓鎧 積累德本 度脱一切 遊諸佛國 修菩薩行 供養十方 諸佛如來 開化恆沙 無量衆生 使立無上正眞之道 超出常倫 諸地之行現前 修習普賢之德 若不爾者 不取正覺

 

【現代語訳】
私が仏となるとき、他の仏国土の菩薩たちが私の国に来生して、必ず一生補処(次に仏になる位)に至ることができないならば、私は仏とならない。ただし、衆生を救うために自らの誓願によって再び迷いの世界へ還り、人々を導く者は別である。

 

【大意】
他の仏国土から極楽浄土に来生した菩薩は、必ず一生補処(次に仏になる位)に至ることができるという誓いです。

浄土で悟りを開いた菩薩が、再び迷いの衆生を救うために、自らの意志でこの現実世界へ還ってくる(還相回向)ことができる、という利他行の可能性を誓う願でもあります。浄土に往生した者が、必ず仏の位に至るまで成長できること、そして悟りを得た後に衆生を救うために還ってくることができることを示しています。

 

 

【御詠歌】

親と子の 中をおもへば へだてなき をしへやのりの こころなるらん

 

親と子の間を思えば隔てがない。この教えこそが法の心であるのだろう。

この和歌は、第二十二願「必至補処の願」が示す、極楽浄土に往生した者が必ず仏になる位に至り、そして衆生を救うために還ってくることができるという、阿弥陀如来の慈悲を詠んでいます。親子のように隔てなく、往生する者と阿弥陀如来の深い絆、往相(浄土へ往く)と還相(現世へ還る)の循環を表現しています。

 

 

境内の見どころ

 

浪華仮病院と適塾の歴史的な縁

 

山門前には「浪華仮病院跡」と刻まれた石柱が立っています。

浪華仮病院跡の碑

浪華仮病院跡の碑

通りすがりには見落としてしまいそうな控えめな佇まいですが、この石柱はここが明治2年に設立された浪華仮病院の跡地であり、現在の大阪大学医学部の原点となった歴史的な場所であることを静かに伝えています。

 

 

山門の傍らには、境内地に発祥した大阪浪華仮病院と適塾の関わりを示すモニュメントが建立されています。

大福寺

大阪浪華仮病院と適塾の関わりを示すモニュメント

1869年(明治2年)、後藤象二郎大阪府知事、参与小松清廉の尽力により、八丁目寺町(現在の大阪市天王寺区上本町四丁目)の大福寺に浪華仮病院および仮医学校が設立されました。この浪華仮病院こそが、現在の大阪大学医学部の原点となった歴史的施設です。

院長は緒方惟準(洪庵の次男)、主席教授としてオランダ軍医ボードウィンを招き、適塾関係者が多く採用されました。

緒方洪庵が1838年に大坂に開いた蘭学の私塾「適塾」は、福沢諭吉、大村益次郎、橋本左内など、幕末から明治にかけての多くの名士を輩出した塾として知られています。その適塾の精神と人材を受け継いで、この大福寺に浪華仮病院が設立されたのです。

ここにあったのはわずか3か月たらずでしたが、その後、法円坂(現在の大阪医療センター付近)に移転し、これが大阪大学医学部へと発展していきます。

大福寺の境内は、適塾の系譜を引き継いだ近代日本の医学教育の原点となった、歴史的に重要な場所なのです。

 

 

御朱印

 

訪問時はお留守だった為、再訪して頂く予定です。

 

 

アクセス

 

【所在地】大阪府大阪市天王寺区上本町4-1-15

【交通アクセス】近鉄奈良・大阪線「大阪上本町」駅より徒歩約5分、Osaka Metro千日前線・谷町線「谷町九丁目」駅より徒歩約7分

 

 

 

参拝メモ

 

とても気持ちの良いお天気に恵まれた日に訪れました。
境内には大きな木が聳え立ち、都会の中にありながら静かで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

山門の傍らには浪華仮病院と適塾の関わりを示すモニュメントが建立されており、この寺院が近代日本の医学教育の原点となった場所であることを知ると、感慨深いものがあります。

訪問時はご不在で御朱印をいただくことができませんでした。再訪して、ゆっくりとお参りし、御朱印をいただきたいと思います。

専念寺から徒歩圏内にあり、上本町エリアの札所巡りとして効率よく回ることができます。

 

 

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