大阪市港区・福崎の住宅街から少し離れた場所に鎮座する福崎住吉神社(ふくさきすみよしじんじゃ)。
江戸時代の新田開発とともに祀られた天照皇大神と住吉大神は、今もこの地の氏神として静かに息づいています。
訪れたのは、秋の気配が深まる朝。
境内にはザクロの実が赤く色づき、鳥の声とともに、季節の実りがやさしく迎えてくれました。
帰り際、神社の方から「よかったらどうぞ」とザクロをお頒ちいただき、そのやさしさに、祈りの場が地域とともにあることを改めて感じました。
今回は、「OsakaMetroで行く六十六花御朱印巡り」の一社として訪れ、静かな境内と、花御朱印に込められた祈りのかたちを綴ります。
目次
福崎住吉神社とは|開拓とともに祀られた海の神さま
大阪市港区福崎の倉庫や運輸会社、工場などがある中に鎮座する福崎住吉神社は、江戸時代・天保6年(1835年)の新田開発とともに創建されたと伝えられています。
この地に住む人々が、海の安全と土地の繁栄を願って祀ったのがはじまり。
以来、洪水や戦火をくぐり抜けながらも、地域の氏神として静かに息づいてきました。
御祭神は、天照皇大神と住吉大神。
天照皇大神は、太陽の神としてすべてを照らす存在。
住吉大神は、海の神として港町の暮らしを見守る存在。
この二柱が祀られることで、光と海、日常と旅路を守る祈りの場として、地域に根ざしています。
境内はこぢんまりとしながらも、やさしい空気に包まれていて、朝の光が差し込むと、鳥の声とともに、祈りの場としての静けさがいっそう深まります。
境内を歩く|四季の実りと、静かな祈りの空気
福崎住吉神社の境内は、こぢんまりとしながらも、やさしい空気に包まれています。
鳥の声が響く朝、葉の揺れる音とともに、祈りの場としての静けさがそっと広がっていました。
手水舎
境内に入ってすぐの手水舎には、かわいいネコの置物がちょこんと座っていました。
その姿は、まるで訪れる人々を見守っているよう。
手水舎の縁にちょこんと座るネコの置物。訪れる人々を、静かに見守っているようでした。
拝殿
拝殿は、朝の光に照らされて凛とした佇まい。
天照皇大神と住吉大神が祀られたこの場所には、海の気配と太陽のぬくもりが静かに息づいています。
朝の光に包まれた拝殿。天照皇大神と住吉大神が祀られ、港町の暮らしを静かに見守っています。
稲荷社
境内の一角には、朱塗りの鳥居と小さな稲荷社がありました。
宇迦之御魂神が祀られ、商売繁盛や五穀豊穣の祈りが静かに息づいています。
朱塗りの鳥居の奥に佇む稲荷社。商売繁盛と豊穣の祈りが、今も静かに息づいています。
福徳鈴之森社
御祭神は天鈿女命(あめのうずめのみこと)、柘榴(ざくろ)之御霊。
天鈿女命は、芸能・技能・武芸・女性の守り導きの神様。
柘榴(ざくろ)之御霊は、古来より子宝・子授け・子育て・多産・豊穣を象徴とする子供の守護神。
天鈿女命(あめのうずめのみこと)、柘榴(ざくろ)之御霊を祀る福徳鈴之森社。
神社の方から伺ったお話によると、柘榴の神様は氏神さまであり、福徳鈴之森社にお参りしたら子供が授かったという方もおられるとか。
福徳鈴之森社のそばに実ったザクロ。秋の気配とともに、祈りの場にやさしい彩りを添えていました。
柘榴の実は女性の病を癒す作用を持ち、古の人々から愛されたと言い伝えられています。
帰り際、神社の方からお頒ちいただいたザクロ。祈りの場が、地域のやさしさとともにあることを感じました。
花御朱印と祈りのかたち
福崎住吉神社は、「OsakaMetroで行く六十六花御朱印巡り」の一社として、花御朱印を授与されています。
訪れた日は、秋の気配が深まりつつある頃。
いただいた花御朱印には、柘榴のシールが貼られていて、その一枚に神社の空気がそっと閉じ込められているようでした。
「OsakaMetroで行く六十六花御朱印巡り」は、ただ御朱印を集めるだけではなく、それぞれの神社で「祈りのかたち」に触れる旅でもあります。
福崎住吉神社の花御朱印は、そんな旅の途中で出会う、やさしい記憶のひとつになりました。
福崎住吉神社で拝受した花御朱印
👉 「OsakaMetroで行く六十六花御朱印巡り」まとめ記事はこちら
アクセス
【所在地】大阪市港区福崎1-1-39
【最寄り駅】・大阪メトロ中央線「朝潮橋」駅下車、徒歩約18分・大阪シティバス「福崎一丁目」下車、徒歩約1分
ザクロと花御朱印に包まれた静かな記憶
鳥居をくぐって境内に入った瞬間、鳥肌が立つような感覚を覚えました。
何かわからないけど、私の心がすごく感動しているような感覚です。
気が付けば、何度も「めちゃいい神社やん!」と呟いている私がいました(笑))
神様の気が満ちていて、境内には優しい気が溢れているような感覚です。
福崎住吉神社で過ごした朝のひとときは、静かなやさしさが心に残る時間でした。
ネコの置物がかわいい手水舎、赤く色づいたザクロの実、そして花御朱印─。
そのすべてが、祈りのかたちとして、そっと心に寄り添ってくれるような風景でした。
港町に鎮座するこの神社には、地域の人々の暮らしと祈りが静かに息づいていて、「祈ることは、日常のなかにある」ということを、改めて教えてくれた気がします。
帰り際にお頒ちいただいたザクロは、秋の実りとともに、神社のやさしさを私の心に残してくれました。
それは、御朱印帳に刻まれた花の記憶と同じように、旅の途中で出会った、静かな祈りの記憶です。
次の巡礼へ向かう前に、この優しい静けさをそっと胸にしまっておきたいと思います。
🌸あわせて読みたい花御朱印巡りシリーズ