大阪市港区、静かな住宅街の一角に鎮座する三先天満宮(みさきてんまんぐう)。
菅原道真公をはじめ、住吉大神・稲荷大神を祀るこの神社は、江戸時代に新田開発の成功を祈って創建されたと伝えられています。
今回は、「OsakaMetroで行く六十六花御朱印巡り」の一社として訪れ、美しい花々が奉納された花手水や、やさしい花御朱印に触れ、静かな祈りの時間を過ごしました。
それでは、三先天満宮へ参りましょう。
目次
三先天満宮とは|港町に息づく、静かな天神さま
大阪市港区・三先の住宅街に鎮座する三先天満宮。
そのはじまりは、江戸時代後期──天保6年(1835年)にさかのぼります。
この地を開拓しようとした池田屋大吉が、土地の無事な開発と地域の繁栄を願い、天神さま(菅原道真公)を勧請して祀ったのが、三先天満宮の起こりと伝えられています。
開発は無事に成功し、誕生した「池田新田」はやがて人々が暮らす町となり、天満宮はこの地の産土神(うぶすながみ)として、静かに見守り続けてきました。
その後も、大阪大空襲や度重なる風水害をくぐり抜け、昭和40年(1965年)には現在の地に遷座。
地域の人々の手によって守られ、平成17年には御鎮座170年、平成27年には180年の節目を迎え、奉祝祭が斎行されました。
御祭神は、菅原道真公(菅原大神)をはじめ、住吉大神(底筒男命・中筒男命・表筒男命)、稲荷大神(宇迦之御魂神)の三柱。
学業成就や合格祈願はもちろん、海上守護や商売繁盛のご利益もあるとされ、地域の人々に親しまれています。
境内に息づく祈りのかたち
大阪メトロ中央線の朝潮橋駅からテクテク♪
三先天満宮の前まで来ると、「御鎮座190年」を祝う奉祝行事の準備が進む気配が漂っていました。
「奉祝 御鎮座190年」の準備が進む三先天満宮
奉納花手水|祈りに彩られた、やさしい花の手水舎
水面に浮かぶ色とりどりの花々。
祈りの場が、季節の彩りに包まれていました。
六十六花御朱印巡りの奉納企画として整えられた花手水は、神さまへの感謝と祝福が、花の香りとともに境内に広がっていました。
水面に浮かぶ色とりどりの花々。祈りの場が、季節の彩りに包まれていました。
拝殿|静かな祈りの場
昭和40年に現在地へ遷座された社殿は、戦災や風水害をくぐり抜けながらも、地域の人々の祈りに支えられてきた場所。
その静けさは、朝の空気の中でいっそう深く、祈りの場としての凛とした気配を感じさせてくれます。
拝殿。静かな祈りの場。
幸宮|海と知恵の神々を祀る、やさしい社
境内の一角に佇む幸宮。
海上安全や導きの祈りが、そっと息づいています。
道之長乳歯神(みちのながちはのかみ)・天鳥船神(あめのとりふねのかみ)・八意思兼神(やごころおもひかねのかみ)・大綿津見神(おおわたつみのかみ)の四柱が祀られ、港町にふさわしい神々の気配が静かに漂っていました。
境内の一角に佇む幸宮。海上安全や導きの祈りが、そっと息づいています。
松梅稲荷宮|商売繁盛と豊穣の祈りを宿す小さな社
朱塗りの鳥居の奥にある松梅稲荷宮。
小さな社に、地域の営みを支える祈りが宿ります。
宇迦之御魂神が祀られ、五穀豊穣や商売繁盛のご利益があるとされ、今も人々に親しまれています。
朱塗りの鳥居の奥にある松梅稲荷宮。小さな社に、地域の営みを支える祈りが宿ります。
寝牛社|眼病平癒を願う、静かな霊石
寝そべる牛の形をした霊石。
この石の欠片を煎じて飲むと眼病やよだれくりに効くと伝えられています。
そのため霊石は頭から首にかけて削り取られ、丸い形で現在もお祀りされています。
寝そべる牛の形をした霊石。病に悩む人々の祈りが、今もこの場所に残っています。
花御朱印と祈りのかたち
三先天満宮は、「OsakaMetroで行く六十六花御朱印巡り」の参加神社の一社。
この巡礼は、大阪市内の神社仏閣をめぐりながら、花をテーマにした御朱印を集める祈りの旅です。
三先天満宮でいただいた花御朱印は、淡いピンクと菅原道真公を祀る神社らしく梅の花が描かれた、やさしい雰囲気の一枚。
御朱印は、単なる記念ではなく、祈りのかたちとして手元に残るもの。
花手水の彩りとともに、神さまへの感謝と静かな祈りの余韻が、そっと心に宿るようでした。
「OsakaMetroで行く六十六花御朱印巡り」で拝受した花御朱印。
👉 六十六花御朱印巡り(Osaka Metro沿線)まとめ記事はこちら
※三先天満宮は「港区四社めぐり」の一社でもあり、港区四社めぐりの御朱印もいただきました。
この巡礼については、別の記事で改めてご紹介する予定です。
アクセス
【所在地】大阪市港区三先1丁目5番40号
【最寄り駅】Osaka Metro中央線「朝潮橋駅」7番出口から徒歩約12分
【駐車場】あり。
やさしい祈りの時間のあとで
三先天満宮で過ごした朝のひとときは、華やかさよりも、静かなやさしさが心に残る時間でした。
奉祝祭の準備が進む境内、花手水に彩られた手水舎、そして御鎮座190年の節目にいただいた花御朱印──。
そのすべてが、祈りのかたちとして、そっと心に寄り添ってくれるような場所でした。
港町の風に包まれながら歩いた境内には、地域の人々の暮らしと祈りが静かに息づいていて、「祈ることは暮らしのなかにある」ということを、改めて教えてもらえたような気がします。
宮司さんにも優しいお言葉をかけて頂き、心に残る参拝となりました。
三先天満宮を後にして、六十六花御朱印の祈りの旅は続きます。
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