大阪・本町のビル街に佇む三ツ鳥居。
「ざまさん」の愛称で親しまれる坐摩神社(いかすりじんじゃ)は、生井神・福井神・綱長井神・阿須波神・波比岐神の五柱をお祀りし、古くから住居守護・旅行安全・安産のご利益で信仰を集めてきました。
創建は神功皇后が三韓征伐の帰途、淀川河口で坐摩神を祀ったことに始まると伝えられ、摂津国一宮としての格式を誇ります。
豊臣秀吉の大坂城築城に伴い、現在の船場の地に遷座し、以来この街を見守り続けています。
私が訪れたのは、ちょうど夏祭の真っ最中。
境内では末社・陶器神社の「大阪せともの祭」も同時開催され、色とりどりの陶器が並ぶ市や屋台が賑わいを添えていました。
都会の真ん中で、歴史と祭りの熱気が溶け合う—そんな特別な一日となりました。
スピリチュアル作家・桜井識子さんも訪れ、その魅力を著書やブログで紹介している坐摩神社。
本記事では、御朱印や境内の魅力、アクセス方法まで詳しくご案内します。
それでは、坐摩神社へと参りましょう。
目次
由緒・歴史
坐摩神社(いかすりじんじゃ)は、神功皇后が三韓征伐からの帰途、淀川河口の地に坐摩神を祀ったことに始まると伝えられています。
その後、応神天皇の御代に社殿が整えられ、平安時代には『延喜式』に摂津国西成郡の唯一の大社として記され、摂津国一宮の格式を誇りました。
御祭神は、生井神・福井神・綱長井神・阿須波神・波比岐神の五柱で、総称して「坐摩大神(いかすりのおおかみ)」と呼ばれます。
そのご神徳は、住居守護・旅行安全・安産守護に及び、古くは万葉集にも防人が旅立ちの安全を祈った歌が残されています。
社名の「坐摩(いかすり)」は、「居所知(ゐかしり)」=居住地を守るという意味から転じたとされ、その名の通り、古くから大阪の町と人々の暮らしを見守ってきました。
天正10年(1582年)、豊臣秀吉の大坂城築城に伴い、現在の船場の地に遷座。
坐摩神社が鎮座するこの地名「渡辺」は、旧社地の名を受け継いだもので、全国の「渡辺」「渡部」姓の発祥地とも言われています。
境内の見どころ
境内の入口でまず目を引くのは、全国的にも珍しい三ツ鳥居。
三つの結界を一度にくぐるような不思議な感覚を味わえます。
本町のオフィス街に佇む坐摩神社の三ツ鳥居。都会の真ん中で静けさを感じられる空間。
拝殿は昭和34年に再建された鉄筋コンクリート造で、端正な佇まいが都会の空気に凛と映えます。
昭和34年に再建された坐摩神社の拝殿。端正な造りと白鷺の神紋が印象的です。
境内社には、陶器神社や繊維神社をはじめとする末社が並びます。写真の右奥が陶器神社、左奥が繊維神社です。
境内の右手奥に陶器神社、左手奥に繊維神社が並び、地域の商いと暮らしを見守っています。
夏にはご神花のさぎ草が見頃を迎え、まるで境内を舞う白鷺のように涼やかな風情を添えます。
御神紋「鷺丸」にちなむ御神花・さぎ草。白鷺が羽を広げたような純白の花が、夏の境内を涼やかに彩ります。
夏祭・大阪せともの祭
夏祭と同時開催される「大阪せともの祭」。境内いっぱいに陶器が並び、訪れる人々で賑わいます。
毎年7月21日〜23日、坐摩神社では夏祭と末社・陶器神社の例祭「大阪せともの祭」が同時開催されます。
江戸時代から300年以上続くこの行事は、大阪市指定無形民俗文化財にも登録されており、茶碗供養や陶器市、奉納太鼓、浪速神楽、夕暮れのジャズコンサートなど、多彩な催しで境内が華やぎます。
陶器市には、日常使いの器から芸術的な作品までが所狭しと並び、手に取る人々の笑顔があふれます。
私はこの日、会場で行われていた金継ぎワークショップに参加しました。
欠けた器を修復する作業は、割れや欠けを「美しさ」に変える日本の知恵。
器に新しい命が吹き込まれていく過程は、まるで自分の心も整えられていくようで、完成した瞬間は深い感動に包まれました。
大阪せともの祭のワークショップで体験した金継ぎ。欠けを金で彩り、新たな命を吹き込む。
御朱印|六十六花御朱印巡りでいただいたご縁
坐摩神社でいただいた花御朱印。鮮やかな朱で押された神紋「鷺丸」が印象的です。
坐摩神社では、「OsakaMetroで行く六十六花御朱印巡り」の一社として、神紋「鷺丸」の朱印が押された花御朱印を拝受しました。
白鷺が円の中で羽を休めるようなこの紋は、神功皇后が白鷺の群がる地に社を建てたという伝承を今に伝えるもの。
御朱印帳を開くたびに、夏祭の賑わいや、都会の真ん中で感じた静けさが甦ります。
この巡礼は、Osaka Metro沿線の66社をめぐり、それぞれの神社で異なる花の御朱印を集めるというもの。
一枚ごとに、その土地の空気や神社の個性が込められており、集めるほどに自分だけの花暦ができあがっていきます。
全66社の御朱印と巡礼記録は、こちらにまとめています。
授与品|白鷺が舞う絵馬
2羽の白鷺が飛び立つ坐摩神社の絵馬。希望とご縁を象徴する縁起物。
授与所では、2羽の白鷺が飛び立つ姿を描いた絵馬をいただくことができます。
この絵馬は、スピリチュアル作家・桜井識子さんの著書「神様と仏様から聞いた人生が楽になるコツ」でも紹介され、福運を呼ぶ縁起物として知られています。
願い事を書いて奉納するのはもちろん、縁起物として持ち帰り飾っても良いそうです。
白鷺が舞い上がる姿は、境内で感じた清らかな空気と重なり、手に取るだけで心が晴れるような一枚です。
💠 神仏研究家で文筆家の桜井識子さんは、全国の神社仏閣を巡り、神様や仏様との関わり方や参拝の恩恵を著書やブログで伝えています。
今回ご紹介した坐摩神社も、桜井さんが訪れた大阪の神社のひとつです。
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アクセス情報
【所在地】大阪府大阪市中央区久太郎町4丁目渡辺3号
【最寄駅】Osaka Metro御堂筋線・中央線・四つ橋線「本町駅」15号出口すぐ
【駐車場】なし(周辺にコインパーキングあり)
この場所がくれた時間
都会の真ん中にありながら、歴史と文化、そして四季の彩りが静かに息づく坐摩神社。
三ツ鳥居や陶器市の賑わい、御神花のさぎ草──訪れるたびに新しい表情を見せてくれます。
今回いただいた**神紋「鷺丸」**の御朱印は、この日感じた静けさと温もりをそっと閉じ込めた一枚になりました。
境内で過ごしたひとときは、まるで時間がゆっくりと流れるようで、心がすっと整っていくのを感じます。
日常の中で少し立ち止まりたいとき、旅の途中で大阪の文化や信仰に触れたいとき──
坐摩神社は、そんな私達を優しく迎えてくれる場所です。
大阪の御朱印めぐり|心を整える祈りの寺社
今回いただいた坐摩神社の御朱印は、私の御朱印めぐりの大切な一枚になりました。
大阪には、歴史や文化、そして心を整えてくれる祈りの場がまだまだたくさんあります。
季節ごとの花や行事、神社ごとの個性豊かな御朱印を巡る旅は、自分自身と向き合う時間にもなります。
そんな時に訪れた寺社でいただいた御朱印は、祈りの記録であり、心を整える旅のしるしでもありました。
このページでは、私が大阪で出会った“静かな祈りの場所”をまとめてご紹介します。
大阪府で頂いた御朱印まとめ~神社編~
大阪府で頂いた御朱印まとめ~お寺編~