大阪府東大阪市衣摺に鎮座する長瀬神社(ながせじんじゃ)を訪れました。
この日は、先に彌刀神社を参拝し、その後、歩いて長瀬神社へ。
境内に入ると、とても清々しい空気が感じられ、なんとも気持ちのよい神社でした。
まずは拝殿でご挨拶。
そのあと、境内をゆっくりと歩いていたところ、突然、御祈祷の太鼓の音が響き始めました。
「わぁ!御祈祷が始まった!」
神社に響く太鼓の音は、日常の中ではなかなか耳にすることのないもの。思いがけないタイミングで聞くことができ、うれしい気持ちになりました。
これも神様からの歓迎サインだったのかな?(笑)
そんなことを思いながら、心地よい境内の空気を感じていました。
今回は、長瀬神社の御由緒や御祭神、境内社について詳しくご紹介します。
それでは、長瀬神社へ参りましょう。
長瀬神社の御由緒・歴史
長瀬神社は、大阪府東大阪市衣摺に鎮座する神社です。
現在の長瀬神社が創建されたのは、大正元年(1912年)。
それ以前、この地域には、それぞれの村を守る氏神様が祀られていました。
長瀬神社の歴史を知るうえで大切なのが、明治時代に行われた町村の合併と神社の合祀です。
明治時代の村の合併と神社の合祀
明治22年(1889年)、町村制の施行に伴い、現在の東大阪市の一部にあたる地域が合併し、旧長瀬村が成立しました。
それぞれの地域には、古くから人々が信仰してきた鎮守の神様がいらっしゃいました。
長瀬神社の御由緒
しかし、明治時代には神社の合祀政策が進められ、明治41年(1908年)、旧長瀬村の各地域にあった八社の神々を合祀することが決まりました。
こうして大正元年(1912年)、現在の衣摺の地に長瀬神社が創建され、地域全体を守る総鎮守として祀られるようになりました。
一つの神社の歴史だけでなく、周辺の地域で大切にされてきた神様の信仰が集まり、現在の長瀬神社が生まれたのですね。
なお、合祀された八社については、古い記録や由緒書などが失われているものもあり、それぞれの創建年代や詳しい歴史が明らかになっていない部分もあります。
その中の一社である波牟古曽神社(はむこそじんじゃ)は、平安時代の『延喜式神名帳』に記載された式内社でした。
このことからも、現在の長瀬神社には、近代に創建された神社という側面だけでなく、古くからこの地域で受け継がれてきた信仰の歴史がつながっていることがわかります。
長い年月を経て、地域の人々が大切にしてきた神様が一つの場所に祀られている。そう考えると、参拝の時間もまた違った意味を持って感じられますね。
長瀬神社の御祭神
長瀬神社には、次の九柱の神様がお祀りされています。
長瀬神社拝殿
・ 伊弉諾命(いざなぎのみこと)
・ 伊弉冊尊(いざなみのみこと)
・ 天照皇大神(あまてらすすめおおみかみ)
・ 素盞鳴命(すさのおのみこと)
・ 保食大神(うけもちのおおかみ)
・ 少彦名命(すくなひこなのみこと)
・ 菊理姫命(くくりひめのみこと)
・ 品陀和気命(ほんだわけのみこと)
・ 菅原道真公(すがわらみちざねこう)
それぞれの神様には異なる神話や信仰があり、長瀬神社では、こうした神々を一緒にお参りすることができます。
伊弉諾命・伊弉冊尊|国生み・神生みの神様
伊弉諾命と伊弉冊尊は、日本神話に登場する夫婦の神様です。
二柱は、国生み・神生みの神として知られ、日本の国土や多くの神々を生み出したと伝えられています。
神話の中では、日本の始まりに関わる重要な存在です。
また、伊弉諾命は黄泉の国から戻ったあと、禊を行って身を清めた神様としても知られています。
新しい始まりや、心身を清めることを考えながらお参りすると、神話の世界がより身近に感じられるかもしれません。
天照皇大神|太陽を司る神様
天照皇大神は、太陽を象徴する神様で、皇室の祖神としても知られています。
伊勢神宮の内宮にお祀りされていることでも有名です。
太陽の光は、私たちの暮らしや自然界に欠かせないもの。
古くから、明るさや生命の恵みをもたらす神様として大切に信仰されてきました。
素盞鳴命|力強さと災厄除けに関わる神様
素盞鳴命は、伊弉諾命・伊弉冊尊の神話に登場する神様です。
八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した神話でも知られ、力強い神様として語り継がれています。
また、各地の祇園信仰や天王信仰とも深く関わり、疫病や災厄から人々を守る神様としても信仰されてきました。
保食大神|食物と暮らしの恵みを司る神様
保食大神は、食物に関わる神様です。
日本神話では、食物を生み出す神として登場します。
私たちが毎日いただく食事は、自然の恵みや多くの人々の働きによって支えられています。
日々の暮らしを振り返り、食べ物への感謝を伝えながらお参りするのもよいですね。
少彦名命|医薬や国づくりに関わる神様
少彦名命は、大国主神とともに国づくりを進めた神様として知られています。
小さな身体ながら、医薬や温泉などに関わる神様として、各地で信仰されてきました。
人々の健康や暮らしを支える神様として知られ、大阪では道修町の少彦名神社も有名です。
菊理姫命|白山信仰にゆかりのある神様
菊理姫命は、石川県の白山を御神体とする白山信仰にゆかりの深い神様です。
『日本書紀』の一書に登場し、伊弉諾命と伊弉冊尊が黄泉の国で言葉を交わした場面に関わっています。
その詳しい役割については多くが語られていませんが、後世には縁結びや人と人との結びつきに関わる神様としても信仰されてきました。
品陀和気命|八幡神として知られる神様
品陀和気命は、応神天皇の神名で、八幡神として広く信仰されている神様です。
八幡信仰は全国各地に広がり、武運や国家鎮護、地域の守護など、さまざまな形で人々の信仰を集めてきました。
菅原道真公|学問の神様
菅原道真公は、平安時代の学者・政治家です。
優れた学識を持った人物として知られ、後世には天神様として神格化され、学問の神様として全国の天満宮や天神社で信仰されるようになりました。
受験や学業成就を願う人々からも、広く親しまれている神様です。
このように、長瀬神社には、日本神話に登場する神様から、歴史上の人物を神格化した神様まで、さまざまな神々がお祀りされています。
それぞれの神様の背景を知ってから参拝すると、神社の歴史をより深く味わうことができますね。
境内社にもお参り
長瀬神社の境内には、本殿のほかにも複数の境内社が祀られています。
境内をゆっくり歩いてみると、こうした小さなお社との出会いも、神社めぐりの楽しみの一つです。
長瀬神社末社、左から雨之神社、弁財天神社
雨之神社
雨之神社には、天水分大神(あめのみくまりのおおかみ)がお祀りされています。
水を分配する神様として知られ、農業や暮らしに欠かせない水の恵みと関わりの深い神様です。
雨や水は、自然の恵みであると同時に、人々の生活を左右する大切なもの。古くから水を大切にしてきた日本の暮らしが感じられます。
弁財天神社
弁財天は、もともとインドに起源を持つ神様で、仏教とともに日本に伝わり、広く信仰されてきました。
水にゆかりのある神様としても知られ、芸能や音楽、財福など、さまざまなご利益と結びついています。
稲荷神社
稲荷神社には、食物や穀物に関わる神様として知られる保食大神がお祀りされています。
稲荷信仰は、五穀豊穣や商売繁盛などを願う信仰として、全国各地に広がっています。
長瀬神社末社、左から稲荷神社、多賀神社、御霊社
多賀神社
多賀神社には、伊弉諾大神がお祀りされています。
滋賀県の多賀大社は、伊弉諾大神・伊弉冊大神をお祀りする神社として有名です。
長瀬神社の境内でも、国生み・神生みの神様に改めてご挨拶することができます。
このほかにも境内には御霊社などがあり、地域で大切にされてきた信仰を感じることができます。
※境内社の御祭神や名称については、参拝時の案内板などでもご確認ください。
拝殿でご挨拶をしたあと、境内に響いた太鼓の音
今回の参拝で、特に印象に残ったのが御祈祷の太鼓の音でした。
境内に入ったときから、清々しい空気が感じられ、気持ちよくお参りできた長瀬神社。
拝殿でご挨拶を済ませ、境内をあちこち歩いていたところ、突然、太鼓の音が響き始めました。
御祈祷が始まったようです。
神社で耳にする太鼓の音には、独特の響きがあります。
その音が境内に広がっていくと、自然と気持ちが引き締まるような、それでいて心が落ち着くような感覚になりました。
「もしかして、神様からの歓迎サインだったのかな?」
そんなふうに思ってしまいました(笑)。
もちろん、御祈祷が始まったことが神様からの歓迎のしるしだと、はっきり決められるわけではありません。
けれど、神社を訪れたときに、思いがけない出来事が心に残ることはあります。
心地よい風を感じられたこと。
ちょうど御祈祷の太鼓の音を聞けたこと。
その一つひとつを、今日ここへお参りできた喜びとして受け取るのも、私らしい神社との向き合い方なのかもしれません。
神社めぐりは、由緒や建物を知るだけでなく、自分の心が何を感じたのかを大切にする時間でもありますね。
まとめ|神様の歴史に触れ、心を整える長瀬神社
大阪府東大阪市に鎮座する長瀬神社。
明治時代の町村合併と神社の合祀を経て、大正元年に創建された神社ですが、その背景には、地域の人々が古くから大切にしてきた神々への信仰がありました。
日本神話に登場する神様や、食物、医薬、学問に関わる神様など、さまざまな神々がお祀りされていることも特徴です。
今回の参拝では、清々しい境内の空気に心が和み、思いがけず御祈祷の太鼓の音を聞くことができました。
神様からの歓迎サインだったのかな、と少しうれしくなったひととき。
そんな小さな喜びも、寺社めぐりの思い出として大切にしていきたいと思います。
彌刀神社から長瀬神社へ。
東大阪の街に息づく神社の歴史に触れながら、心地よい時間を過ごすことができました。
また一つ、心に残る参拝となりました。
御朱印
長瀬神社御朱印
アクセス
【所在地】大阪府東大阪市衣摺1丁目4-25
【駐車場】あり
【交通アクセス】近鉄大阪線「長瀬駅」、JRおおさか東線「JR長瀬駅」下車、徒歩約8分