染殿院(そめどのいん)は京都市中京区新京極通にある安産を守る寺院です。
八〇八年、弘法大師・空海により創建されました。
御本尊は地蔵菩薩にして高さ二メートル木造裸形立像で秘仏。
子授けと安産祈願
染殿院がどうして安産の守護となったのかをご紹介したいと思います。
五十五代文徳天皇(八五〇~八五八在位)の后である藤原明子は、天皇より寵愛を受けていましたが、なかなか皇子が授からないという悩みがありました。
そんな折、四条の地蔵菩薩が子宝にご利益があることを聞きつけ、早速地蔵堂に参り、十七日の願をかけたところ、満願の日に明らかな懐妊の兆候があり、十月十日の後、男の子を出産します。
その皇子が、のちの清和天皇です。
藤原明子が染殿皇后と呼ばれていたことにあやかって、地蔵菩薩は「染殿地蔵」と呼ばれるようになりました。
まさに、子授けと安産を祈願するにはぴったりのエピソードですね。
染殿院への入口は、新京極商店街にありました。
境内
甘栗和菓子老舗・林万昌堂四条本店から入って行くこともできます。
御本尊は秘仏です。
安産祈願・子宝祈願に多くの方が訪れるようです。
安産絵馬・子宝絵馬・安産お守・子宝お守などたくさんありました。
染殿地蔵伝説
御本尊の染殿地蔵について伝説があります。
嵯峨天竜寺の開山夢窓国師(夢窓疎石)が松尾に西苔寺(苔寺)を創し、庭園を造ろうとしましたが石は大きく重く、微動だにしませんでした。
その時、忽然と一人の僧が現れ、自由に大きな石を動かし、国師の意の通りに庭園を造りあげます。
国師は歓喜して、何かお礼をしようと思案の末、僧が袈裟を持っていないのがわかったので、自ら着ていた袈裟を贈ります。
「せめてお名前だけでも・・!」っと国師が尋ねると、
「四条あたりの者です。」とだけ名乗り、僧は袈裟を受け、錫杖を地に立てたまま姿を消しました。
後日、国師は四条に托鉢に出かけ、たまたま四条京極の釈迦堂(染殿院)に詣り、御扉を開けて拝すると・・・!
国師が贈った袈裟は地蔵菩薩の肩にかかっていて、錫杖は持ってなかったので、疑うことなく、先日の僧はこの地蔵の化身であったのだと知った国師は、感激の涙を流されました。
その錫杖は現在も西苔寺(苔寺)の地蔵院に残されています。
染殿院 御朱印
犬は多産なのにお産が軽いことにあやかって犬の御朱印なのですね。
お母さん犬の顔が子を慈しむようなとてもやさしい顔です。
アクセス
【所在地】京都府京都市中京区新京極四条上中之町562
【御朱印】あり。御朱印志納金なし。
【アクセス】
◆JR「京都駅」から市バス「四条河原町」下車、徒歩2分
◆阪急「河原町駅」よりすぐ
◆京阪「四条駅」より徒歩約5分